うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「たしか井上くんは十人兄弟で、面倒を見て家のこともやっているそうだね」

「そうですけど……」

答えるとすぐにまた質問が飛んでくる。

「子育てや家のことはばっちりできるよね? なにより知的で美人!! それは私が一番よく理解している! ……こんなに廉二郎に見合う女性は他にいない」

ひとり暴走している社長に慌てて声を上げる。

「ちょっと待ってください社長。まさかとは思いますけど、副社長のお相手に私を……などと、お考えではございませんよね?」

ギョッとし恐る恐る尋ねると、社長はにっこり笑顔で言った。「そのまさかだ! ぜひ私の娘になってくれないだろうか」と。



社長からとんでもない提案をされてから早二週間。

この日は終日社長の外出予定はなく、溜まっている事務作業を秘書課でしていると内線が鳴った。

パソコンキーボードを一定リズムで打っていた手を止め電話を見ると、社長からの内線。

またか……と小さなため息が零れる。

「社長、どうかされましたか?」

素早く出るとすぐに電話越しには社長の弾む声が聞こえてきた。
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