うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「井上くん、ちょっといいかね」

「わかりました、すぐ伺います」

電話を切り立ち上がるものの、社長の要件は聞かずともわかっている。それでも呼ばれているのに無視などできない。

秘書課を後にし社長室のドアをノックすると、すぐに「どうぞ」の声が。

「失礼します」

ワンテンポ置き室内に足を踏み入れると案の定、上機嫌な社長が私を出迎えてくれた。

その姿を見ただけで社長がこの後、私になにを言うのか大方予想できるものの、敢えて普段通り問いかける。

「社長、ご用件はなんでしょうか?」

すると社長はなにか企んでいる顔をしながら言った。

「井上くん、この書類を大至急副社長に直接手渡してきてもらってもいいかな?」

「こちらですね」

にんまりしながら渡されたのは封筒。普段は絶対に中を見たりなどしない。けれど今回は仕事のものではないと確信を得ているから、敢えて中を拝見させてもらう。

けれど見ようとすると社長は急に慌て出した。
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