うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すれ違う恋人たちのように、私と副社長も恋人同士に見えているかな。

「日葵、見て。あそこ。……珍しい鳥がいる」

距離を縮め、私の目線に合わせて指差す彼。言われるがまま副社長が指差す方向を見ると、彼の言う通り珍しい色合いの羽で飛ぶ鳥が目に入った。

「本当ですね、珍しいですね」

顔を見合わせ笑い合う。すると彼は口角を上げ、嬉しそうに言った。

「こういうの、いいな」

「……はい」

私も同じことを思っていた。こうして何気ないことで笑い合えることが、とっても幸せに感じると。

そう思うと、他人の目を気にしていた自分がバカらしくなる。大切なのは私と彼の気持ちだよね。

誰にどう見られていたっていい。

いつの間にか手を繋いでいることに緊張しなくなり、のんびりとしたデートを楽しんだ。
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