うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「井上くん、これは社長命令だ。今すぐこの書類を副社長に直接渡してくるように! でないと私は仕事をしないよ」

子供みたいな強硬手段に出た社長に、がっくり肩を落としてしまう。

だめだ、社長の方が一枚も二枚も上手なようだ。

それに社長は頑固。ここで私が突っぱねて「行きません」と言ったなら、徹底抗戦に出るのは目に見えている。

そうすればますます仕事の進行に遅れが生じるだけ。だったらもうさっさと届けてしまおう。

「わかりました。副社長にこちらをお渡ししてくればいいんですね」

降参すると社長は、コロッと手のひらを返したように上機嫌になる。

「あぁ、よろしく頼むよ! あっ! なんなら廉二郎とお茶してくるといい。仕事なら第二秘書にお願いするから」

能天気な社長に呆れながらも、私は副社長室へと急いだ。



社長室の隣にある副社長室。

たしか今日は副社長も外出予定はなかったわよね?

頭の中で副社長の予定を思い出しながらドアをノックすると、すぐに「どうぞ」の声が返ってきた。
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