うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
不測の事態に慌てて私も病室に入り、すぐにナースコールを押した。

「すみません、すぐに来てください! 胸を押さえて苦しんでいます!」

『わかりました、すぐに伺います!』

その間も社長は胸を押さえ苦しみ続けている。突然私が現れたことに驚く廉二郎さんだけれど、すぐに看護師と医師が来てくれて、社長の治療が始まった。



幸い、大事には至らなかったものの、医師から入院がさらに長引くことを告げられた。

今は薬で眠っており社長に会うことができず、私と廉二郎さんは病院を後にした。

「……悪かったな、今日は遅くまで」

「いいえ、でもよかったです。……社長が無事で」

「……あぁ」

廉二郎さんに自宅まで送ってもらうことになり、彼が運転する車で自宅に向かっているものの……会話は途切れ途切れ。

ただ真っ直ぐ前を見据え、流れる景色を眺めている間、チラチラと運転席から視線を感じていた。

もしかしたら廉二郎さんは、社長との会話を私に聞かれたかもしれないと気にしているのかもしれない。

そう思い付け足すように言った。
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