うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
渋る私に店員は困惑している。その様子を見て社長は眉尻を下げた。

「彼女がせっかく井上くんのために見立ててくれたんだ。それにキミにとても似合っている。どうだろうか、ここはプレゼントさせてくれないだろうか」

「社長……」

上司にここまで言わせておいて、部下として「いりません」とは言えない。申し訳ない気持ちでいっぱいだけれど、店員さんも困っているし、ここは素直に甘えてしまってもいいのかな。

「すみません、ではお言葉に甘えていただきます。大切に使わせていただきます」

折れると社長は喜び、店員は安堵した。

「ではこちらでお包みさせていただきますね」

「ありがとうございます。今、脱いできます」

再び試着室に戻りドアを閉めた途端、深いため息が漏れる。

一社員の分際で社長に洋服を買わせるなんてあり得ない。でも今回だけは断らない判断の方が正しかったよね。

そう自分に言い聞かせながら鏡に映る自分が視界に入る。

やっぱり何度見ても可愛い服で、この服で副社長と会うことを考えると照れ臭くなる。
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