僕はキミの心臓になりたい



徐々に張り詰めていた糸が解れていき

今なら素直な気持ちを

彼に言えると思った。



「あのね、本当はすごく嬉しかったの。

毎日お見舞いに来てくれて

勉強教えてくれたり

毎朝迎えに来てくれたり…

私こんなに優しくされたこと

今までなかったし、初めての友達が

できたみたいで凄く嬉しかったんだ」



羽賀くんにたくさんお礼を言わなきゃ

いけなかったね。



次々と私の中から、素直な言葉がでてきた。



「私、病気持ちで入院が多いから

友達の作り方がわからなくて

今までずっと1人だったけど

本当は友達と思いっきりはしゃいだり

することが憧れなんだ」



そう言うと、羽賀くんはにっこりと笑って聞いてきた。



「例えばどんなことしたいの?」



「夏は友達と花火大会に行って

金魚すくいしたりヨーヨー釣りして遊んで

チョコバナナとか食べながら花火を見て…

夏休みになったら

鎌倉とか浅草にちょっと遠出して

普段できないことをやって

思い出作れたらなって」



羽賀くんは黙って聞いてくれたけど

話してるうちに恥ずかしくなってきた。



「あはは。ごめん、全然聞き流して……」


「わかった。じゃあ明後日の日曜日、駅前に集合な」


「え?」



羽賀くんを見ると、ポケットから

何かを取り出して私に見せた。




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