狐とご主人様
僕を引きずるように歩きながら彼女は聞いてきた

「奴隷、名前はなんていうの?」

「ない....です」

「ふ〜ん奴隷だと呼びずらいから考えてあげるわ」

と少し立ち止まり考えている
これから虐める相手の名前なんてどうでもいいだろうと思いながら見ていた
「さっき空を観てたわよね?」
コックリと頷く

「今日からあなたはシルルよ
わかったなら返事をなさい」

「はい..」
なんだか不思議だった
まず名前なんてつけてもらったことなぞ無かったからだ
また歩き出し彼女は近くにいる燕尾服の男と楽しそうに話し始めた

彼女の家であろう丘の上の屋敷がみえてきた

すると唐突に


「シルルあなたの出来ることはなにかしら?まさかなにもできないわけないわよねぇ?」

なにも答えられなかった

「まあ仕方ないわよねぇこんなに多才で才能豊かな私からしたら何ができようと無能ですものそれを感じ取れるなんてえらいわぁ」

本当に変わった人だなぁと思ったが
口にはだせなかった
「はい..あなた様にくらべれば僕はただのなにもできない奴隷でございます」

と答えた
「立場をわきまえてていいけど..
まあいいわ」

となにかいいたげだった
そうこうしているうちに屋敷についた

これからどんな仕打ちがまっているのか
不安でならなかった







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