冷徹王子と成り代わり花嫁契約
七章 片割れの少女と血印の書

クリストフ王子によって監禁されて、もう何時間が経ったのだろう。

私が立ち上がって手を伸ばしても到底届きそうもないほど頭上にある小窓を見上げて、私はため息をついた。

夜の帳が降りて月明かりが微かに頬を照らす。
またいつクリストフ王子がここに来るかと気が立ってしまい、ろくに眠れてもいない。

城の者に何も言わずに勝手にいなくなった私を救い出すため、身を呈してくれたヴァローナまでもが捕まってしまった。


(私さえいなければ、ヴァローナは……)


疲労と空腹で嫌なことばかり考えてしまっていることに気が付いて、私は首を横に振った。


(ヴァローナは私のために犠牲になってしまったのに、私がこんなことを考えてはダメ)


弱気になりかけた自分の心を奮い立たせるため、自ら両手で頬を叩く。

どうにか逃げ道はないかと床や壁を叩いてみたり、小窓まで登れないかと壁に足をかけてみるが、やはり登れそうもない。

体勢を崩してしまい、尻もちをついてしまった痛みに耐えていると、何時間ぶりかの、重い扉を開ける音がした。


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