秘密の恋は1年後
大太鼓のような音で鳴る鼓動が、痛いほどに胸を打つ。
「どうぞ」
「あ、ありがとう、ございます……」
こんなふうにエスコートされるのも、道端で頬にキスをされたのも初めてだった。
本革のシートに座って、適温に設定された車内にいても、頬が熱い。
彼のやわらかな唇が一瞬触れたそこが、ジンジンする。まるで、私の気持ちを代弁するように。
「いいね、このあたりも閑静で」
「ありがとうございます」
次いで彼が右側の運転席に乗り込み、シートベルトを締めながら言う。
だけど、なにがおかしかったのか、くすっと笑った。
「緊張してる?」
「あっ、えっと、その……」
あまりにも素敵な彼の、不意を突いたキスに驚き、返事が一辺倒になってしまった。
でも、彼はそれを面白がっているようで、車のエンジンをかけたままで見つめてくる。