秘密の恋は1年後

「もう一回言えよ。俺のことが好きだって」
「っ!!」

 本当は視線を逸らしたいだろうに、瞳を揺らして見つめ返してくる。


「好き……です」
「誰のことが?」
「な、尚斗さんが」

 素直に言ってくれた彼女に、余裕たっぷりに微笑んでみせる。
 思いがけず気持ちを通じ合わせることができて、心の中の俺は飛び跳ねまくってるけれど。


「よくできました」

 初めて重ねた唇は、とてもやわらかい。
 ほんの少し甘く感じるのは、まひるのことが愛しくてたまらないからだろうな。

 最初は浅く唇を合わせるだけのキスが、少しずつ深さを変える。
 彼女の唇を食むと、できた隙間から吐息が漏れて、欲情しそうになった。


「続きは、あとでもらう」

 勝手にしたキスを、またしても勝手にやめる。
 曖昧に火を点けられた様子で、ぼんやりと見つめ返してくる彼女に色気を感じた。


「カレー、できたっぽいけど?」
「あ、そ、そうですね!」

 我に返った彼女は圧力鍋の蓋を開け、用意していた皿に盛り付けはじめた。

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