秘密の恋は1年後
真っ白な楕円形の皿で、初めて彼女が作ってくれたカレーが湯気を立てている。
カトラリーと冷緑茶のグラス、野菜スティックに合わせて考えてくれた味噌マヨネーズと柚胡椒マヨネーズの二種類のディップが、ダイニングテーブルに並んだ。
いただきます、と言うと、どうぞ、と返された。
ひとりで食事をする時は、誰にも何の断りもなく流れ作業のように食事を済ませてしまうから味気なかったけれど、こうして俺のために作ってくれたものを前にすると、視覚でも食欲が刺激されるものだと知った。
「どうですか?」
カレーをひと口食べた俺に、彼女が心配そうな表情を向けてくる。
ものすごく美味しいし、おかわりだってできそうなほど気に入ったけれど、そう簡単には褒めてやらない。