秘密の恋は1年後

「うーん……」
「や、やっぱりお口に合わないですよね? なにがダメですか?」
「そうだなぁ」

 なにがダメと言われても、非の打ちどころがないので困るけれど、俺のために試行錯誤しようとする姿勢が、またいたずら心を刺激する。


「味は美味いよ。でも、愛情が足りない気もする」

 すると、まひるは少しの間自分の皿に視線を落としてから、思い立ったようにスプーンにひと口分を掬った。
 そして、テーブルの向こうから腕を伸ばし、俺に向かって差し出してくる。


「ど、どうぞ……」

 自分でしたことなのに、真っ赤な顔のまひるが潤んだ瞳に俺を映す。


「ん?」
「愛情が不足しているみたいなので……」

 俺は自分のスプーンを皿に置き、彼女が差し出したスプーンに向かって口を開けた。
 食べる直前に、彼女の細い手首を掴んで引き寄せる。


「っ!!」
「……うん、美味い」

 唇についたルーを舌先で舐めとりながら、まっすぐに彼女を見つめた。

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