秘密の恋は1年後

 ――翌朝、目覚ましのアラームで目が覚めた。
 もちろん自分の部屋で、ひとりきりの変わらぬ朝ではあるけれど、隣に彼がいたら朝からドキドキさせられて、生きた心地はしなかったと思う。
 そんな時間を過ごした後で、何食わぬ顔で出勤できる余裕も、今の私にはないのだ。
 今までと変わらない朝が私には似合っている気がするし、ホッとしているのが本音だった。


 出社して、午前中の仕事を卒なくこなし、同僚とのランチから戻りがけに、エレベーターで彼と出くわした。
 会社ではあくまでも社長と社員で、ふたりの関係はしばらく秘密にしなくてはいけない。
 そう約束を結んできたのは彼の方なのに、やたら見つめられて困ってしまった。


「ねぇ、まひる」
「なに?」

 声を潜めて話しかけてきた同僚に答える。

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