秘密の恋は1年後

 定時で席を立ち、今日は寄り道をせずに自宅に帰ることにした。

 もし、昨日から彼と同棲をしていたら、今頃は駒沢に向かっているんだろうとぼんやり考える。
 献立を考えながら帰りがけにスーパーで食材を買って、彼のために食事を用意して帰宅を待つのはとても楽しい時間になるだろう。
 でも、突然彼の隣で過ごすようになってしまったから、状況についていけないままで……。


 時刻通りにホームに入ってきた電車に乗り込み、ちょうど空いた席に座って携帯をバッグから出す。

 そういえば、今日は彼の連絡が一度もない。
 朝は、身支度をしている間に彼がいつも連絡をくれていた。夜は仕事を終えたタイミングで。
 それが日課のように自然と続いていたので、なんだか寂しく感じて、今日くらいは自分からなにか連絡してみようかと思った。

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