秘密の恋は1年後
ライトグレーの仕立てのいいスーツ姿に、思わず尚斗さんを重ね見てしまう。
たった二、三日連絡が取れていないだけで、随分と離れて過ごしているような感覚がしたからだ。
――寂しいな。
迷いなく心の中で紡いだのは、本当に素直な想いだった。
「こんにちは。仕事中?」
「はい、ちょうど外出先から戻るところで……。愛斗さんは?」
「俺も、このあたりに少し用があったから。もうお昼は済ませた?」
「いえ、これからです」
時間的にランチを取ってから帰社した方がいいと、駅構内のカフェで済ませようと考えていた。今朝、客先に行くときに見かけた店が洒落ていたので、少し気になっていたのもある。
「よかったら、一緒にどう?」
「でも、愛斗さんはお仕事の途中ではないのですか?」
「麻生さんの都合さえよかったら、少し話そう」
「……ちょっと待ってくださいね。結衣さんに言わないと」
携帯を手のひらに乗せたら、画面の上に大きな手がかざされた。