秘密の恋は1年後
「結衣には、俺から言っておくから。ついでに、尚斗も」
「でも」
「大丈夫だよ。ほら、乗って」
背中を押されるようにして助手席に乗り、左側の運転席に座った彼はスムーズに車を出した。
本当なら、結衣さんだけに許されているはずの助手席は、恐縮してしまう。
しかも、兄弟揃って高級外車なので、慣れない私はまたしても背筋をぴんと伸ばしてしまった。
「そんなに姿勢よくしなくても」
細く開けたウィンドウから風が入る。
運転している愛斗さんの横顔に、無意識のうちに尚斗さんを探していた私を一瞥した彼は、にこっと微笑んだ。
「す、すみません、慣れなくて」
「ん? 尚斗の車でデートしてないの?」
「あ、えっと……ついこの前、初めて休日に会いました」
「いいねぇ、初々しくて」
十分ほどで、隠れ家風の店構えのレストランに車が停められた。