秘密の恋は1年後
私はチキンと野菜のグラタンを、彼はペスカトーレを頼み、出来上がりを待つ。いつもコスパと出てくるまでの時間を重視していたランチタイムは、偶然会った愛斗さんのおかげでいつになく華やかだ。
もし、これが尚斗さんとこっそり会社を抜け出して、秘密のランチだとしたら、どんな話をするんだろうなぁ……。
「どうしたの? なんか困りごと?」
「えっ?」
「なんか、ちょっと暗い顔してたから」
アイスティーの氷をストローで泳がせながら、愛斗さんがまっすぐ見つめてくる。
「尚斗となにかあった? それとも仕事?」
「……なにかってわけではないんですけど」
そもそも、私が日曜から約束していた同棲を、突然やめてしまったことにあるんだと思う。
たぶんだけど彼も多少は気にかけていると思うし、私が彼の立場だったら、理由なく帰りたいなんて言われたら、少なからずショックを受けるだろう。
でも、彼は深い理由を聞くことなく自宅に返してくれて、結局私も甘えさせてもらったままだ。