秘密の恋は1年後

「なに? なんでも言ってよ。未来の義兄になるかもしれないんだしさ」
「ま、まだそういう話は」

 交際を始めたばかりの私たちを冷やかすような口調で、愛斗さんが言った。でも、きっと誰よりも尚斗さんを知っている彼に、少しでも助けてもらえたらと思った。


「ちなみに聞きますけど、男の人って会社とプライベートでキャラクター変わるものですか?」
「……あははははは! あー、なるほどね」

 私が真剣に、言葉を選んで失礼がないように質問したのに、返されたのは大笑い。
 肩を揺らして笑う彼は、口元を手の甲で覆って顔を隠している。


「尚斗もそういうタイプなのか」
「も、ってどういうことですか?」
「いや、俺もそうだから」
「えぇっ!?」

 兄弟揃って、そんなところまで似なくても……。
 もしかして結衣さんも私と同じような気持ちになったことがあるのかなぁ。


「でも、両方とも尚斗であることには変わりないんじゃないかな?」
「それはそうですけど……」

 約三年間、片想いしてきた〝会社での彼〟は、幻なのかとさえ思えるレベルなのに。

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