秘密の恋は1年後
【今日、こっちに帰ってこれるか?】
兄貴からメッセージが届き、ハイバックチェアを回転させて窓から見える景色を眺める。
昨日、まひるとなにを話したのか気になってたんだよなぁ。
それを聞くのはなんか格好悪いって思ってたけど、このままスルーできそうにもない。
「はぁ……めんどくせー」
背もたれに大きく寄りかかり、指先で兄貴に返信をする。
【そのつもりでいたよ。早めに帰れる予定だから、ポテサラお願いしておいて】
感情を揺さぶられるのは得意じゃなかったのに、彼女のこととなるとそうはいかない自分が一番面倒だ。
会議を二件、来客を三件。ランチも取ってあらゆる業務をこなしていたら、夕方になっていた。
さらに、添付資料をチェックしながら、社長決裁対応を済ませ、時間通りに業務に区切りを付ける。
携帯を見ても、まひるからは特に連絡がない。
時刻は十八時半前。もしかしたら、彼女も仕事を終えて帰る頃だろうか。