秘密の恋は1年後

「尚斗にしては珍しいチョイスだよな、麻生さんって。実は、常々思ってたんだよ」

 確かに、今までの彼女とはタイプが違う。
 好んでいたのは、もう少し派手なタイプだったし、兄貴から社内恋愛の面倒さを聞かされていたせいもあって、間違っても社内恋愛には手を出さなかった。

 だけど、それを知った上でもまひるを放っておけなかった。
 三月のあの日、人事部で初めて会った瞬間、視界に波紋が広がるように胸の奥が恋を感じたからだ。


「からかい甲斐があるんだよ。会社でもプライベートでも澄ました顔して過ごしてるけど、実は水面下でもがいて必死になってるのが透けて見えるっていうか」
「あぁ、わかるかも」

 わかるのかよ!
 俺だけが知ってればいいのに、またしても兄貴はさも当然のように返事をしてきたので、つい表情を曇らせてしまう。

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