秘密の恋は1年後
十五分ほどで、真っ白なTシャツにネイビーのスウェット姿の尚斗さんが、濡れた髪をタオルで拭きながらリビングに入ってきた。
「腹減った」
「あと少しでできるので、先にビールをどうぞ」
グラスに琥珀色のビールを注ぐと、美味しそうに喉を動かして半分を一気に飲む彼にまたしても見惚れてしまう。
濡れた前髪の隙間から、色っぽい目つきで見つめ返されて、キッチンに戻ろうとした足が止まった。
「構ってほしいって顔に書いてあるぞ」
くすっと笑った彼は、私の腰に回した腕で力強く引き寄せる。
「お前、いい奥さんになりそうだな」
「ええっ!? お、奥さんって」
「嬉しいだろ? 一生、俺を独占できるなんて」
近距離で囁くように話す彼は、驚きと動揺で百面相になりそうな私を見て楽しそうだ。
すると、いつの間に持ってきたのか、小さな袋を隣の椅子からテーブルに置いた。