秘密の恋は1年後

 ――翌朝、尚斗さんの腕の中で目覚めた。

 あれから眠る前にもう一度火が点いた彼を止める術がなく、おかげで少し身体が重い。
 まだ眠っている彼の寝顔をじっと見つめてから、起こさないようにベッドを出て、朝の支度を始めた。

 今日は会社帰りに結衣さんと会う約束をしている。
 仲睦まじい夫婦の時間にお邪魔するのは気が引けるので、差し入れのマフィンを渡して目的を果たしたら、早々にお暇しようと思う。


「おはよ……」

 寝癖で髪がぴょんと跳ねている尚斗さんが、眠たそうに右目を擦りながらリビングに顔を出した。


「おはようございます。コーヒーにしますか?」
「いや、水がいい」

 常温のミネラルウォーターをグラスに注いで出すと、彼はひと口飲んだところで、ようやく目が冴えてきた様子だ。

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