秘密の恋は1年後

「わざと気を引くようなことをするなぁって思ってたんだ。素直じゃないというか、振り回すというか。あんな姿を見たのは初めてなんだよ」

 そう言われてみれば、分かる気もしてきた。
 だけど、愛斗さんの言う通り、私の気を引きたいがためだとしたら、なんてかわいい人なのだろう。
 新しい一面を見せられたようで、抱きしめたくてたまらなくなりそうだ。


「もし、不満を感じることがあったら、言いにくいかもしれないけどきちんと話し合ってね。尚斗は不器用なところもあるけど、すごく誠実だし、麻生さんの声には耳を傾けてくれるから」
「はい」

 今聞いたことは秘密にすると自ら約束し、そろそろ帰ろうと腰を上げた。


 ――夫婦が食事を始める前にお暇して、駒沢へ向かう。

 まさか、尚斗さんの過去を知るとは思わなかった。
 恋人の存在は想像に難くないことだったけど、その終わりを聞くなんて……。

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