秘密の恋は1年後

「……俺に会いたかった?」
「会いたかったですよ。早く帰ってきてくれないかなって、ずっと待ってました」

 素直な気持ちを伝えると、彼は腕を解いて見つめてくる。


「…………」

 そして、私の頭に手のひらをポンと置いてから、何事もなかったように無言のまま書斎に入ってしまった。


 今までだったら、こういう彼の言動にとにかく振り回されていただろう。
 答えが彼の望むものじゃなかったのかとか、気にしていたに違いない。

 だけど、今夜からは違う。
 付き合ってもないのに愛斗さん夫婦に会わせてくれたり、強引に同棲に持ち込もうとしたり、初めてひとつになった日は『全部、俺のものだ』と言われたり……。
 昨夜は、一緒にいて幸せかと聞かれ、欲のままに求めて愛してくれた。

 振り返ってみれば、とにかくいろいろと思い当たる節がある。


「素直じゃないなぁ、尚斗さんは」

 彼がかわいくて仕方なくなり、書斎から出てきたYシャツ姿の背中にギュッと抱きついた。

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