秘密の恋は1年後

 タオルを胸元に当てて長く垂らし、ドアをゆっくり開けた。


「温泉じゃないんだから」

 髪を洗っている彼が、頭にこんもりと泡を乗せたまま笑っている。


「だって……」

 即席の最後の砦でもあるタオルを禁じられたら、泣きたくなるほど恥ずかしくて耐えられないと思う。
 彼の隣にバスチェアを置き、背を向けてシャワーを浴びる。
 ボディソープで身体に泡を纏わせている間に、彼はひと足先にバスタブに浸かった。


「まひるって、肌が綺麗だよね」
「見なくていいです」
「見たいから一緒に入ってるんだけど」
「尚斗さんのエッチ」
「なんとでも言え」

 長い手足を伸ばしても余裕のあるバスタブから、彼が意地悪を言う。
 その視線が、背中やうなじ、お尻のあたりにまで刺さるようだ。
 背を向けていても感じるので耐えきれず、いそいそと身体と髪を洗い終えた。

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