秘密の恋は1年後

「今日も一日頑張りましょうね」

 微笑んでいる彼の瞳が、あまり穏やかではない。それに、なんだかちょっとひきつっているようにも見える。
 わざわざ他の社員の前で言わなくたっていいのに……。


「はい、ありがとうございます」

 無難な返事をしたら、プイっと前を向いてしまった。

 つかみどころのない彼のことだから、いろいろ考えたってわからないところもある。
 だけど、会社でそんな態度を取られても困るのだ。


 二十九階でドアが開き、先輩社員とエレベーターを降りた。
 さらに上階にある親会社の社員たちとともに残っている尚斗さんに振り返ると、視線も合わせてくれなかった。

 いったいどうしたと言うんだろう。
 今朝の尚斗さんは、なんだか少し変だ。

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