秘密の恋は1年後
二十時前。尚斗さんが帰ってきた。
「おかえりなさい、尚斗さん」
「…………」
今日は激務だったのか、まともに目も合わせてくれない。
それどころか、なにも言わずに私の横をすり抜けて書斎に荷物を置き、すぐに洗面室に入ってしまった。
もしかして、今朝のことでまだ不機嫌? そんなに怒らせるようなことがあった?
着替えをそっと洗面室のバスケットに置いてから、キッチンに戻って食事の支度をする。
見てしまった葉書と、尚斗さんの機嫌の悪さで頭の中がいっぱいだ。
「ビールでいいですか?」
「あぁ」
湯上がりの彼に話しかけても、一瞬たりとも視線を合わせず返事をされて、私まで不機嫌が移りそう。
「私、なにか気に障るようなことしましたか?」
グラスとビールを出しながら聞くも、小さなため息が返事代わり。
私は悪いことなんてしてないのに!!
テーブルに向かい合って座っても、彼はなにも言ってくれない。
会話のない食卓は味気なく、あっという間に終わってしまった。