秘密の恋は1年後

 食後はいつもリビングのソファで寛ぐけれど、今夜はそんな気になれず、意識して彼と距離を取ってしまう。

 私はダイニングチェアに座ってアイスティーを飲みながら、ソファにいる彼の様子を探る。
 尚斗さんは、テーブルにあった葉書に気づいたようで、目を通してから傍らに置いた。

 疲れているだけなら、そう言ってほしい。
 これから先も同じようなことはあるはずだし、彼の多忙さや重責は社員として理解しているつもりだから。

 もし私のせいなら、教えてほしい。
 そうじゃなきゃ、一緒に暮らしていく自信がない。お互いが心に火種を燻らせたままでいるのは、健康的な交際ではないと、経験の浅い私でも容易にわかる。


「ちょっと、こっち来て」

 前触れなく話しかけられて、身体を震わせるほど驚いた。今日はもうこのまま眠って、明日の朝まで引きずらなくてはいけないのかと諦めていたからだ。

 グラスを持って、彼の左隣に腰を下ろす。
 一拍置いてから見つめたその横顔は、思っていたよりもずっと穏やかなもの。怒っているわけではなさそうだと感じ、張りつめていた心がふと緩んだ。

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