秘密の恋は1年後

 まさかの展開に、ソファに座ったまま呆然とする。

 彼以外の男性と言っても、会社の先輩だ。それも、朝の挨拶を交わした程度でこんなにムッとされるなんて、想像もしていなかった。


「……もしかして、これがそうなのかな」

 少し前に愛斗さんが気にかけてくれていたのを思い出し、ハッとした。
 息苦しくなるほどの嫉妬なんて皆無だったから否定したけれど、今になって思う。

 葉書の相手の女性が残した心の傷は、まだ癒えていないのではないだろうか。
 だから、少しでも不安になると、彼の心が大きく揺れてしまうのでは……。

 尚斗さんの過去を知って、目に見える証拠のような葉書を手にしたからって、今が変わるわけじゃない。
 こんなふうに些細なことで拗ねる彼は、私を想ってくれているのだから。

 なにがあっても彼を信じて、彼の想いに精いっぱい応えていけば、もしかしたら彼の心の傷も消えてくれるのではと思った。

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