秘密の恋は1年後
「あんな女は、後にも先にもいないだろうなぁ」
懐かしむように遠くを見つめる眼差しに、ずきりと心が痛む。
尚斗さんにとって、忘れられない人。
別れた後も彼の心と記憶に存在するなんて、どれだけ想われていたんだろう。
「……狡いですね、元カノさん」
どうしたって、そんなの妬いちゃう。
こんなに好きなのに、彼の心の片隅には立ち入れないのだから。
私と出会う前の彼を手に入れたくなる。
「そうか? 俺からしてみれば、そんなこともないと思うけどな」
むぅっと僅かに唇を尖らせて膨れていると、優しい瞳に映された。
「多忙で大して構いもしなかった俺に、結婚を迫ってきたんだ。でも、俺は即答で〝その気はない〟って答えた。結果、彼女は浮気をして、俺を振ったんだ」
……あれ? 愛斗さんから聞いていた話とちょっと違う気がする。
確か、尚斗さんが多忙で、浮気されて振られたって言ってたはずなのに。