秘密の恋は1年後

 定時で帰宅して、尚斗さんの帰りを待ちながら家事をする。
 その間も、持ち帰った感のある仕事のことが頭を巡っていて、無意識のうちにうーんと唸ってしまった。

 本人が辞めたいと言うなら、それもひとつだとは思う。
 だけど、彼を活かせる業務を見つけてからでも、その決断を受け入れるのは遅くない気がしてならない。
 活かせる人材として期待とともに採用され、自身も望んでくれたからには、そのために精いっぱい応えてあげるのが人事のあり方だと思うからだ。


「ただいま」
「あっ、おかえりなさい!」

 食事を作っている間に、尚斗さんが帰ってきた。
 考え事をしていたせいで、帰宅にすら気づかなかったのは初めてだ。


「どうした? 具合でも悪いか?」
「っ!!」

 キッチンに入ってきた彼が、私の額に手を当てた。
 瞬時に火照ってしまう頬は、今になっても慣れない彼の甘い仕草のせい。

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