秘密の恋は1年後

 ――朝から落ち着かない。いつも以上に気を引き締めないと、隙をついて社長の顔が頭に浮かぶ。

 昨日は帰宅してから読書もせず、服装やメイクをどうするか考えていた。

 行き先は教えてもらえなかったけれど、レース素材が繊細なカットソーに、オフホワイトのカーディガンを着て、紺色のタフタ生地のスカートを選んだ。きちんとした服装とメイクなら、どこに連れていかれても気後れせずに済むと思ったのだ。

 勝手に小説を読まれて、私はどんな女だと思われているのか、考えれば考えるほど顔から火が出るくらい恥ずかしい。
 だけど、どうせなら楽しまなくちゃ後悔するに違いない。

 憧れであり、恋焦がれてきた社長と過ごせるのは、きっと今夜が最初で最後だから。

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