秘密の恋は1年後

 世間とずらして取った夏季休暇は、高速道路の渋滞に少し巻き込まれている。
 車中で彼の横顔を見つめると「気が散る」と言われ、黙っていると「まひる?」と話しかけられた。
 結局、構っていてほしいのかもしれないと思い、もう一回言ってほしいとおねだりしたのに……。


「あと少しで高速下りるよ。疲れてない?」
「大丈夫です! 尚斗さんこそ運転で疲れましたよね?」
「別に、これくらいどうってことないよ。夜は温泉に浸かれるしな」
「温泉? 宿の予約まで済ませてくれていたんですか!?」
「まぁ、行けばわかることだ」

 軽井沢に行こうと誘われ、日程は三泊四日だと教えてもらっていたけれど、その他は秘密にされたまま。
 二十分ほど経って高速を下り、一般道で駅前まで来ると、アウトレットの看板が見えてきて、少し寄ることになった。

 パーキングに立ち、ぐーっと身体を伸ばす。
 尚斗さんも大きく伸びてから、空を見上げて深呼吸をした。

 そよそよと吹く夏風に、マキシ丈の白いコットンガーゼスカートがなびく。
 シンプルなネイビーのTシャツの背中に、彼が手を添え、私たちは歩きだした。

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