秘密の恋は1年後
「あっ、これかわいい! 色違いで一緒にできますよ?」
並びのショーケースにある、モバイルケースにひと目惚れした。シンプルだけど、ちょっとクールで個性もあって……。
「私が赤で、尚斗さんは黒かネイビーがいいですね」
「却下」
「あっ、プレゼントじゃないですよ? 両方とも私が払います」
「そういうことじゃない。行くぞ」
私を置いてスタスタと出ていってしまった彼を追う。
「どうしてもダメですか?」
「俺が、お揃いなんてすると思うか?」
はぁ、っと短いため息をつく彼を、じっと見上げた。
夏風にそよぐ前髪の隙間から、力強い瞳が覗いてドキドキする。でも、その瞳の奥には優しさがあって、私がふと微笑んだら、諦めたような微笑みが返された。
「そろそろ行くか」
「えっ、ケースは?」
「だから、買わないって」
折れてくれたと思ったのになぁ。
私の手を取って歩く彼は、次にメンズファッションの店に入った。彼は気になったものを次々と手にとってはラックに戻し、時折鏡に合わせて選んでいる。
お客も店員も男性ばかりで、なんだか浮いているような気がして、尚斗さんについて行く。