秘密の恋は1年後
「お疲れ様です」
他の社員の挨拶に、電話中の彼は小さく手を挙げて微笑みで答える。
だけど、私は彼が手にしている携帯に目が留まった。
私にプレゼントしてくれたモバイルケースと、色違いのものを使っているのだ。
あんなにお揃いは嫌だって言ってたし、プレゼントしてくれた時も私の分だけ買った様子だったのに……。
「まひるも、挨拶しなくていいの?」
「そ、そうだね……」
姉は私の片想いと思い込んでくれているので、小声で背を押すようなことを言ってくる。
でも、彼女に気づかれないように自然に、社長と社員として話せる自信はあまりない。
「千堂社長、おかえりなさいませ」
「麻生さん、お疲れ様です。今日は早く帰れそうなんですね?」
「ええ、おかげさまで」
先に姉が話しかけたせいで、ちょうど終話した彼が、私に気づいて近づいてくる。
にっこりと微笑んで、しっかりと見つめられるとドキドキしたたまらない。