秘密の恋は1年後

 その夜。


「ごめん」

 帰宅した彼は、靴を脱ぐことなくすぐに彼が頭を下げてきた。
 食事を済ませたところで、私から本題を切り出そうと考えていたので、意表を突かれた。


「日程を決めて、ちゃんと話すつもりだった。でも、誠実に話すべきだと思ったから、腹をくくった」

 私を困らせるつもりだったのではないと分かっていたけれど、あの瞬間で考えをめぐらせて覚悟を決めたのだろう。


「怒ってないので、謝らないでください」
「そうは言っても、まひるは自分で言おうと思ってただろうし」
「……はい。だけど、尚斗さんが姉に話してくれたら、一気に胸がスッとした気もしました」
「そうか?」

 実際は、あの後大変だった。
 嘘をついていたのか、どうして話してくれなかったのか、信頼がないとは言わせない……と、姉にものすごい剣幕で詰め寄られたのだ。

 でも、少し話せば分かってくれると信じていたから、順を追って打ち明けると、心から喜んでくれた。

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