秘密の恋は1年後
ただ、「社内恋愛は大変ね」と言った姉の顔が、ほんの少し切なそうだった。
もしかしたら、日々顔を合わせている井浦社長への想いを、まだ断ち切れずにいるのかな……。井浦社長との社内恋愛を、一度や二度は想像したこともあるだろう。
書斎にバッグを置き、Yシャツのボタンをいくつか外した彼が、リビングに向かう。私も後を追って、キッチンに入り、ビールとグラスを出した。
「さっき、お姉さんから連絡があったんだよ。それで、なんて言われたと思う?」
「うーん……」
美桜ちゃんのことだから、よろしくお願いしますと挨拶をしてくれたり? それか、改めて秘密にすると言ったかもしれない。
「幸せにしなかったら、ただじゃおかないって言われたよ。敵に回したら怖いタイプだとは思ってたけど、義姉になると思うと先が思いやられる」
「す、すみません……」
「いいよ。まひるがかわいがられて、大切に育ってきた証拠だからな」
ソファに並んで座ると、尚斗さんは優しく右手を繋いでくれた。