秘密の恋は1年後

「これから、少しずつ俺たちの関係を公表していこうと思う。……いいか?」
「はい」

 間を置かずに返事ができたのは、今日までの日々があるから。まだ半年も経っていないけれど、一気に加速したこの気持ちに迷いはなかった。

 互いの想いを確かめ合うように、唇を重ねる。
 尚斗さんが額をくっつけてきて、とても優しく誠実な微笑みを見せてくれた。



 ――十月になり、ぐっと秋らしくなった。
 あれだけつらかった真夏がいつの間にか季節を交代していて、時の流れを感じる。

 尚斗さんの恋人になってから約五カ月。
 まだそれしか経っていないのかと驚く反面、毎日一緒にいられたから、とても凝縮した日々だったと思う。


 今夜は、仕事帰りに彼とデートをする約束だ。
 だけど、私が金曜の今日に限って定時で仕事が終わらず、三十分残業をしてから出てきたので、山手線で移動する間、外出先から直接向かっている尚斗さんから先に店に入ったと連絡があった。

 まだ社内では極秘にしているので、東京駅前にあるブルーメゾンビルディング内の〝立花〟に直接向かう。

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