秘密の恋は1年後

 不意に葛城さんからまっすぐ見つめられて、ドキッとした。


「お式などの予定はもう決めたんですか?」
「いえ、まだ彼女のご両親に挨拶もできていないので、ご紹介するのも見切り発車ではあるんですけどね」
「あははは、千堂さんらしいですね。なにごともスピーディーで」

 立花さんと話している間も、葛城さんは黙って聞きながら私から視線を外さない。

 なにか気に障ることをしただろうか。初対面で失礼があっては、尚斗さんの顔に泥を塗ることになりかねない。
 必死でこの短時間の出来事を思い出していると、隣から尚斗さんが覗き込んできた。


「どうした?」

 大好きな彼のやわらかな眼差しと、近くなった距離感に鼓動が大きく跳ねる。


「あ、あのっ」
「ん? なんだ?」
「……千堂さん」

 緊張してしまって、と言おうとした隙に、葛城さんがにこっと微笑みながら横入りしてきた。

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