秘密の恋は1年後
「そういえば、社内に公表する予定は考えていますか?」
先日、姉には予期せぬタイミングで打ち明けたけれど、それまでずっと黙っていたのは心苦しかった。
だけど、会社に公表するのは訳が違うのだから、よく考える必要があると思う。
飲み足りないのか、尚斗さんがブランデーをグラスに注いで、ソファに座った。
私も冷緑茶のグラスを手に、隣に座る。
「俺はいつでもいいよ。今まで隠してきたのは、お前のためだ。仕事が楽しいなら、働きやすい環境であるべきだからな」
「でも、やっぱり尚斗さんのタイミングがあると思うんです」
「なくはないけど、気にしなくていい。なにがあろうと俺の嫁になるんだから」
私の髪を指先で梳く彼は、ゆっくりとブランデーを飲んで、ふっと息をついた。
俺の、嫁……。
その響きにドキッとさせられて、グラスを両手で持ったまま少し俯く。
本当に、尚斗さんの奥さんになるなんて、まだ実感がない。彼女でいることもやっと馴染んできたばかりなのに。