秘密の恋は1年後
「ビールでいい?」
「あっ、はい。ありがとうございます」
不意に彼に話しかけられて、ドキッとした。
だけど、結衣さんが気にする様子もない。不思議に思うのは私だけなのかなぁ。
「麻生さん、食べられないものがあったら遠慮なく教えてくださいね」
「ありがとうございます。特別ありませんので、お気遣いなく……」
彼はグラスにビールを注ぎ、美しい曲線が印象的なリビングのソファに座っている私の隣に腰を下ろした。
「はい、乾杯」
「……結衣さんは一緒じゃなくていいんですか?」
「あぁ、彼女はまだ飲まないよ」
「そうですか……」
私に持たせたグラスの下の方に、彼が自分のグラスを合わせて乾杯をした。
この状況がいまいち理解できなくて、少しだけ口を付ける。
公にしていない関係を、私なんかに明かしてよかったのだろうか。これから入籍するから、気にしていないだけ?
社員とはいえ、平気で自宅に私を連れてきて大丈夫なのかな?
結衣さんも、疑うことなく私をもてなしてくれるのはどうしてだろう。