秘密の恋は1年後

 十九時半が過ぎ、会社を出てから一時間以上経った。
 この短時間で色々なことがありすぎて、理解が追い付かない。
 そんな私をよそに、社長は二杯目のビールを注ぎにキッチンに立ち、なにかを焼いている様子の結衣さんと仲良さそうに話している。

 私が入る隙間なんて、最初からなかったんだなぁ。
 片想いを続けていくのも無駄だと、突きつけられているみたいでつらくなってきた。
 食事をご馳走になったら、早々にお暇しよう。ふたりの時間に私がいたら、邪魔でしかないはずだ。


「あっ、帰ってきた」

 結衣さんは不意にそう言うと、火を消して手を洗い、パタパタとスリッパの音を立てて嬉しそうにリビングを出て行く。

 帰ってきたって……誰が?
 社長の他に、ここで一緒に暮らす人がいるのだろうか。まさか、どちらかの親御さんだったりして!?
 そうだとしたら、なんて図々しい社員だと思われるだろう。

 出迎えてきちんと挨拶をするために、私はソファから腰を上げた。

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