秘密の恋は1年後
「愛斗さん」
「ん?」
「今、ちょうど尚斗さんから連絡が来て、これからいらっしゃるみたいです」
えっ!? 社長が来るの?
会いたいと思ってはいたけれど、先に千堂家にお邪魔しているのはなんだか気まずい。
しょっちゅうここに帰ってきていると聞いていたから、今日のところはなるべく早く帰るつもりだったのに……。
彼の名前を聞いただけでドキドキしながらも、夫婦のやり取りを見つめる。
「それならなおのこと、ご一緒しませんか? 尚斗も数日ぶりに来るので喜ぶと思いますよ」
あれから社長と話していないせいで、緊張のあまり逃げ出したい気分だ。
なにを話せばいいのかも考えていなかったし、次に話す機会があれば、彼に言われたことの真意を問うつもりでいた。
まさか、こんなタイミングでその時が訪れるなんて……。
「……では、お言葉に甘えさせていただきます」
夫婦の誘いをどうにも断りきれず、食事の用意ができるまで愛斗さんと話すことになった。