秘密の恋は1年後
「食事ができるまで、一杯どうですか?」
愛斗さんは缶ビールとグラスをふたつずつ持ってきて、リビングのソファに座った。
ふたり分くらい離れた距離からYシャツ姿の彼を見ていると、社長とよく似ているせいで緊張する。
「結衣さんに悪いので、お酒はあとにされたほうが……」
私がそう言うと、彼はキッチンで背中を向けている結衣さんをちらっと横目で見てから、不意に私に顔を寄せてきた。
「待ってると、妻の機嫌が悪くなるんです。だから、付き合ってくれる? お願い」
囁き声とウインク付きのお願いをされて、ドキッとしてしまった。
兄弟揃って浮世離れした美しい顔立ちをしているから、見惚れずにいられない。しかも、ふたりともよく似ているせいで、社長にウインクされたと錯覚を起こしそうになった。