秘密の恋は1年後
勝手にお邪魔したことを、今さら後悔する。
やっぱり了承を得てからにするべきだったのではと考えつつ、荷物を置きに自室に入ったと結衣さんから聞いて、ふっと息をついた。
「あれ? 兄貴、もう帰ってきてたの? ……って、麻生さん!?」
すぐに社長はリビングのドアを開け、同時にいつもと変わらぬ様子で愛斗さんに話しかけながら顔を見せた。
「お邪魔してます」
「えっ、どうしたの!?」
咎められると思っていたのに、彼はぱぁっと晴れやかな表情を見せた。
Yシャツのボタンをふたつ開け、袖を適当に捲り上げた着崩しが妙に色っぽくてドキッとさせられる。
「結衣さんと約束があったのでお邪魔しておりました」
「あぁ、そうか。ふたりは友達になったんだもんね」
ふと思い出したように、社長が言う。結衣さんのご飯を食べに来たらどうかと、思い付きで言い出したのは彼なのに。
この分だと、私がずっと気にしてることも忘れていそうだ。
日頃あれだけ忙しくしているのだから、彼が思い出すこともなかっただろう。