秘密の恋は1年後

「てっきり俺に会いに来てくれたのかと思ったのになぁ」
「っ!?」
「ん? そんなに驚く?」

 当然です!
 社長といい、愛斗さん夫婦といい、千堂家の人たちは悪い冗談を言って驚かせるのが好きみたいだ。


「そうだ。俺とも連絡先交換しない?」
「えぇっ!?」

 さっきから驚かされっぱなしで目を丸くしている私を、夫婦は楽しそうに見つめるだけ。
 愛斗さんは、「ほら、言った通りだろ?」と言いたげだし、結衣さんはニコニコして眺めている。

 動揺している私の返事も聞かないうちに、社長は携帯を操作してQRコードを表示させた。


「はい、これ読み取って」
「……あの、本当にいいんですか?」
「逆にダメな理由ってある?」

 彼は優しい微笑みの奥に、私と交わした約束を匂わせている。
 秘密にしてきた趣味を胸にしまっておいてもらうには、言うことを聞くしかないようだ。

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