秘密の恋は1年後

 愛斗さんは、社長が私のことを好きでいると言っていたけれど、きっと勘違い。
 それに、社長が私と付き合うつもりでいるようなことを言ったのも、思いつきで言っただけだと思う。

 私がここにいることも、彼は顔や態度に出さないだけで、本当は快く思ってないのかもしれないし……。


「あー、喉乾いた。ビール、ビール!」

 連絡先の交換をすると、彼は上機嫌で鼻歌を口ずさみながら、冷蔵庫から缶ビールを取り出してグラスに注いだ。


「兄貴も結衣ちゃんも、彼女が来てるなら言ってくれたらよかったのに」
「でも、嬉しかっただろ? サプライズで」
「まぁね」

 社長も揃ったところで、食事の支度を再開した結衣さんは、次々と作った料理を盛り付けていく。
 初鰹の刺身と青菜の白和え、しじみのお味噌汁とそぼろご飯。口直しに梅酒のシャーベットもある。今晩はポテトサラダの日ではないようだ。

< 66 / 346 >

この作品をシェア

pagetop