秘密の恋は1年後

「結衣さんのお料理って、見た目から美味しそうですよね」
「褒めていただけるような凝ったものは作ってないんですよ。主人の好物ばかりで申し訳ないんですけど、お好きなだけ食べていってくださいね」

 愛斗さんは自然と手を貸し、結衣さんが盛り付けたお皿をダイニングテーブルに並べていく。


「あっ、私も手伝います」
「麻生さんは座ってゆっくりしてていいよ」

 大皿に盛られた鰹の刺身を前に、社長が言う。
 彼は手伝う気すらないようで、ダイニングチェアに座ってビールを飲み、目の前に並ぶご馳走に「どれも美味そう」と称賛するばかりだった。


 社長の隣に座って、ありがたく食事をいただく。
 鰹の刺身を針生姜や大葉、茗荷と一緒に頬張ると、夏が近くなったんだなぁと感じる。薬味が盛られた豆皿もお洒落で、夫婦のセンスの良さが食卓に花を添えているようだ。

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