秘密の恋は1年後
「あの子は、兄貴の元部下なんだけど、ふたりが結婚してからも諦めが悪くてね」
「そうだったんですか!? 私はてっきり社長が……」
泣いて帰った女性は、彼にひどく振られたのだと思っていたのに。
「まさか、俺が泣かせたと思ってたの? 言っておくけど、俺は浮気なんてしたことないよ。それに、今は麻生さんを振り向かせる策を練るのに忙しいからね」
「っ!?」
またしても私の不意を突いた社長は、何食わぬ顔で味噌汁の椀を持つ。
愛斗さんと結衣さんはテーブルの向こう側で、仲睦まじく食事を楽しんでいて、こちらのことなんて気に留めていない。
「あの……おふたりの馴れ初めを聞いてもいいですか?」
場の空気を変えようと、話題を夫婦に振ってみた。